書籍『ガラス』

国や文化を超えた対話が、
ガラス食器を生み、静物画を生み、写真と本を生み出した。
まるでフィクションのようなアートプロジェクトの全貌。

さまざまな文化や環境にある人々の生活によりそうガラス作品を作る、スウェーデン在住のガラス作家・山野アンダーソン陽子。ドリンキンググラスやピッチャーなど、どのように使われるか、置かれるかを考えながら、ひとつひとつ個性のあるガラスを作っています。

そんな山野が美術館をめぐっていて気を取られるのは、静物画に描かれるガラスの食器。割れないガラスを眺めるうちに、ある思いが生まれ、「Glass Tableware in Still Life」をはじめます。

山野は、18名の画家に、「どんなガラス食器がほしいか(描きたいか)」を言葉だけで伝えてもらいました。「焼きたてのシナモンロールやボロネーゼのパスタを食べる時にだけ使う、牛乳を飲むためのグラス」、「目を瞑って、辞書を開いて指が見つけた言葉」、「向こう側を見る『窓』としての器」など、それぞれが思い思いの言葉を山野に投げかけます。山野は言葉を受け止め、イメージを広げ、その画家のためのガラス食器を制作しました。画家はそれを静物画に描き、写真家が画家のアトリエでガラス食器と静物画を撮り、その写真をデザイナーが1冊の本に編みました。こうして、山野のふとした思いから始まった「Glass Tableware in Still Life」は、静物画を思わせる写真と、写真にも見える絵に収まり、2023年夏にアートブックとして結実しました。

構想から約5年。日本とスウェーデン、ドイツを舞台に、個性豊かなアーティストたちが重ねてきた、ガラス食器をめぐる思考と対話。本書は、そのプロジェクトの紆余曲折を、中心で奮闘し続けた山野自身の言葉で生き生きと綴ったドキュメンタリーのようなエッセイです。

描かれるプロジェクト「Glass Tableware in Still Life」から生まれた展覧会「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」は2023年11月3日から広島市現代美術館で始まり、全国数カ所を巡回します。

2023年10月31日発売
定価:税込1,540円(本体1,400円+税10%)
仕様:文庫、並製、208ページ
著: 山野アンダーソン陽子
編集:柴原聡子
写真:三部正博
ブックデザイン:須山悠里
印刷・製本:株式会社八紘美術
ISBN: 978-4-908356–52-0

山野アンダーソン陽子
スウェーデンのストックホルムを拠点に活動するガラス作家。日本の大学を卒業後、北欧最古のガラス工場であるコースタ内の学校で吹きガラスの手法を学び、その後スウェーデンの王立美術工芸デザイン大学(Konstfack)にて修士課程を修了。クリアーガラスを探求し、スウェーデン、イギリス、日本などで作品を展開する。2023-2024年、本書に綴られているアートプロジェクト「Glass Tableware in Still Life」の展覧会を、広島市現代美術館、東京オペラシティ アートギャラリー、熊本市現代美術館で開催。

展覧会
「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」
2023年11月3日(金)〜2024年1月8日(月) 広島市現代美術館
2024年1月17日(水)〜3月24日(日) 東京オペラシティ アートギャラリー
2024年7月13日(土)〜9月23日(月) 熊本市現代美術館
ほか
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